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そらまめの会

腎細胞癌及び腎盂癌患者とその家族の交流の会です。交流会のお知らせ及び報告、様々な情報を発信します

腎がんに対するCTガイド下経皮的ラジオ波焼灼療法は有力な選択肢

「がんナビ」による情報です。

 腎がんの治療法としてはまず、根治的摘除術が挙げられる。だが、多発がんなど手術が困難な場合の治療方針は、まだ確立されていない。これに対し、CTガイド下経皮的ラジオ波焼灼療法が有効な選択肢の一つになると、岡山大学泌尿器病態学の小林泰之氏が第97回日本泌尿器科学会総会で発表した。岡山大学は、2002年5月に腎がんへのCTガイド下経皮的ラジオ波焼灼療法を日本で初めて実施。2004年には高度先進医療(現先進医療)として厚生労働省の認可を受けている。
 小林氏が発表したのは、2008年4月までに腎がんでCTガイド下経皮的ラジオ波焼灼療法を行った37人(男性26人、女性11人、平均年齢64歳)の治療成績だ。がんの大きさは最大径7~58mm(平均22.5mm)で、治療前にはCTまたはMRIによって被造影効果が全例認められた。CTガイド下に電極針を腫瘍部分に穿刺し、大きいものに対しては複数回穿刺し、腫瘍全体を焼灼した。患者の腎機能から可能と判断した場合には治療終了前に造影を行い、被造影効果の消失を確認した。術後半年ごとにCTまたはMRIによる経過観察を続け、被造影効果の消失を有効と評価した。
 37人52病変のうち、50病変(96.1%)が完全焼灼された。不完全焼灼だった2病変は追加焼灼を行った。その後、被造影効果が再出現したのは6病変で、48病変ではまだ被造影効果を認めず、有効率は92.3%(平均観察期間18.3カ月)だった。合併症は、術後疼痛が10人、腎周囲血腫・後腹膜血腫が8人などだった。
 「CTガイド下経皮的ラジオ波焼灼療法は、比較的患者への負担が少なく、腎機能の温存が可能で、繰り返し行えるというのが大きなメリット。多発がんや部分切除術後の再発などに対しては、有効な治療選択肢の一つになると考えられた」と小林氏はまとめた。
(小又 理恵子)

腎がんに対するCTガイド下経皮的ラジオ波焼灼療法は有力な選択肢(2009.4.22)による
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腎細胞がん治療薬としてエベロリムスが優先審査品目に指定

「がんナビ」による情報です。

ノバルティス ファーマは4月23日、根治切除不能または転移性の腎細胞がんの治療薬として1月28日に製造販売承認の申請を行ったエベロリムス(RAD001)が、4月2日付けで優先審査品目に指定されたと発表した。
 エベロリムスは、がんの増殖、成長および血管新生の調節因子であるmTORを持続的に阻害し、腫瘍細胞の増殖抑制と血管新生阻害により抗腫瘍効果を発揮する。
 エベロリムスは「Afinitor」の製品名で、3月30日に米国食品医薬品局(FDA)から前治療が無効となった進行性腎細胞がんの治療薬として承認を取得したほか、現在、EUを
はじめとする各国で承認を申請している。
(横山 勇生)

腎細胞がん治療薬としてエベロリムスが優先審査品目に指定(2009.4.24)による
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腎細胞がんに対する分子標的薬は有効でより副作用が少ない薬に移行する

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 転移性腎細胞がんの治療としてソラフェニブは二次治療、スニチニブはgood riskまたはintermediate riskの一次治療、テムシロリムスはpoor riskの一次治療、そしてTKI不応例にはエベロリムスが推奨される。4月16~19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会の日本泌尿器科学会(JUA)アップデートセッションのパネルディスカッションで、慶應義塾大学医学部泌尿器科学の大家基嗣氏が腎細胞がんの分子標的治療について解説した。
 この1年間の変化として、ソラフェニブとスニチニブが承認され、mammalian target of rapamycin(mTOR)阻害薬のテムシロリムスとエベロリムスの臨床試験がほぼ終了し申請に移行したことが挙げられる。また、ソラフェニブとスニチニでは、これまで無増悪生存期間(PFS)のデータをベースとしていたが、この1年で全生存期間(OS)の結果が得られている。エベロリムスの結果も出てきている。
 淡明型腎細胞がんでは、von Hippel-Lindau(VHL)蛋白が不活化すると低酸素誘導性転写因子(HIF)の恒常的活性化が生じ、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)が誘導される。腎細胞がんに対する分子標的薬はこのVEGFを標的とする。ソラフェニブとスニチニブはVEGFR-2の受容体のリン酸化部位を阻害するチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)である。
 サイトカイン抵抗性の腎細胞がんの二次治療として行われたソラフェニブのTARGET試験では、ソラフェニブ400mgの1日2回投与群451人とプラセボ投与群452人でOSとPFSなどを比較した。OS中央値はソラフェニブ投与群17.8カ月、プラセボ投与群15.2カ月であった。プラセボ投与群の48%がソラフェニブにクロスオーバーしたため、両群の曲線は徐々に重複している。
 一次治療として、スニチニブ50mg/日を4週投与、2週休薬する群375人と、インターフェロン(IFN)-αの900万単位を週3回皮下注する群375人を比較する第3相比較試験では、PFS中央値はスニチニブ11カ月、IFN-αは5カ月であった。OS中央値はスニチニブ投与群26.4カ月、IFN-α21.8カ月で、4.6カ月の延長が認められた。さらに、スニチニブの投与を受けた患者とIFN-αの投与を受け、試験終了後は無治療だった患者のOS中央値は、それぞれ28.1カ月と14.1カ月で、さらに差は広がった。
 一方のmTOR阻害薬は、放線菌由来の免疫抑制剤。mTORは細胞質において細胞のシグナル伝達系の中心に存在するたんぱく質である。mTORの上流にはAktと呼ばれるたんぱく質があり、さらにその上流には酵素のPI3Kが存在する。Aktはさまざまながんで活性化される。腎細胞がんでも活性化され、Aktの活性化の割合が高いと予後不良となる。
 転移性腎細胞がんのうち予後不良の患者を対象にした第3相比較試験では、IFNを1800万単位まで増量し、週3回投与する群207人、テムシロリムス25mgを週1回静注する群209人、テムシロリムス15mgを週1回とIFNの600万単位を週3回投与する併用群210人で、生存率を比較した。テムシロリムス投与群がIFN投与群に比べて優位にOSを延長したが、併用療法の優位性はなかった。mTOR阻害剤の副作用は比較的少ないが、間質性肺炎や高血糖に注意する必要がある。
 TKI不応の患者362人について、エベロリムスと緩和維持療法(BSC)とエベロリムスまたはプラセボを併用する群に2:1に無作為化した試験では、エベロリムス投与群はプラセボ投与群に比べて顕著にPFSが延長した。mTOR阻害薬はスニチニブのような明確な腫瘍縮小効果はないが、この試験では同効果もある程度示された。副作用として間質性肺炎、リンパ球減少などが観察されている。
 大家氏は、腎細胞がんに対する分子標的薬の展望について、「疾患特異的分子標的薬ではないため、より効果が高い、あるいは副作用の少ない薬に置き換わっていく可能性がある。肺転移巣のみであれば、日本人の予後は良好なため、完全奏効(CR)を狙って免疫治療から始める考えもあるが、肝臓や膵臓などの実質臓器の腫瘍縮小効果は分子標的薬による。また分子標的薬とIFNの併用療法の可能性も模索されている」と話した。
(森下 紀代美=医学ライター)

腎細胞がんに対する分子標的薬は有効でより副作用が少ない薬に移行する(2009.4.24)による
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S-1治療は転移性腎がんの病勢をコントロールする可能性

「がんナビ」による情報です。

 サイトカイン療法が無効となった転移性腎細胞がんに対し、胃がんの標準治療として使用されているS-1(テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤)が有効である可能性が、後期フェーズ2試験で明らかになった。北海道大学腎泌尿器外科の篠原信雄氏らが、4月16日~19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会で発表した。
 対象は、淡明細胞がんと乳頭状腎細胞がんで、腎摘出術後のインターロイキン2(IL-2)やインターフェロンα(IFN-α)によるサイトカイン療法が無効または不適当と判断された19施設45人。
 実際にはサイトカイン療法を受けた患者が45人中42人と大半を占めた。また、サイトカイン療法以外の治療も受けた12人のうち、ソラフェニブとスニチニブがそれぞれ3人、UFTが5人、サリドマイドが1人だった。
 S-1は28日間連続投与、14日間休薬を1コースとし、投与量は体表面積に合わせて、1日2回40~60mg/回を投与した。その結果、2コース継続した患者は39人、3コースは33人、4コースは 30人で、24人は5コース以降も継続したという。投与の中止理由としては、病態悪化が14人、有害事象が7人だった。
 4コース終了時において、腎癌取り扱い規約に基づく効果判定は、CRは0人、PRが11人(24.4%)、NCが30人(66.7%)であり、RECISTでもCRは0人、PRは11人(24.4%)、NCが28人(62.2%)だった。
 無増悪生存期間(PFS)中央値は9.2カ月だったことから、「S-1治療は病勢コントロールに寄与する」と篠原氏は話した。また追跡期間中央値20.9カ月における1年生存率は84.1%、2年生存率は66.9%だった。
 S-1との因果関係が否定できない主な有害事象は、グレード3/4の好中球減少が4人、赤血球減少が3人、血糖値上昇が3人で、食欲不振が4人、口内炎、下痢、倦怠感がそれぞれ2人だった。
 S-1の適正使用基準ではクレアチニン値が1.5mg/dL以下とされている。腎摘出術後の転移性腎細胞がん患者ではこの基準を超えることもあり、S-1治療ができる患者は限られてしまう面がある。その一方で、今回の試験では前治療に分子標的薬を使用した6人のうち4人でPRが認められていた。
 このため篠原氏は、「分子標的薬による治療後は、海外ではmTOR阻害薬が使われるが、S-1も使用できる可能性がある。武器は多いほうがいい」と話した。
(八倉巻 尚子=医学ライター)

S-1治療は転移性腎がんの病勢をコントロールする可能性(2009.4.24)による
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肺転移腎がんに対し低用量IL-2とIFN-α併用療法は有効と多施設共同試験で確認

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 腎細胞がんの肺転移巣には低用量インターロイキン2(IL-2)とインターフェロンα(IFN-α)の併用療法が有効であることが、筑波大学付属病院など国内35施設が参加した多施設共同オープン試験で確認された。IL-2 RCC スタディグループが、4月16~19日に岡山市で開催された第97回日本泌尿器科学会総会で発表した。
 低用量IL-2とIFNα併用療法のフェーズ2試験では奏効率は26%、肺転移巣のみの症例では39%と報告されている。そこで、腎摘後で肺転移巣のある患者を対象に、IL-2とIFNα併用療法の有効性と安全性を検討する多施設共同の臨床試験が行われた。
 試験期間は2006年4月から2008年10月で、35施設44人が登録された。解析対象とした43人のうち男性は33人で、PS 0が全体の77%、淡明細胞がんが88%を占めた。IL-2(70万単位)を週に5日間連日投与、IFN-α(600万IU)を週に3回投与し、これを8週間行った。続いて9週目から24週まで、同量のIL-2とIFN-αを週に2、3回投与した。
 その結果、主要評価項目である腫瘍縮小効果は、評価可能だった42人において、CRが2人、PRが13人で、奏効率は35.7%、NC以上の割合は73.8%だった。
 また転移巣が肺のみの患者群(32人)では奏効率は35.5%、肺だけでなくリンパ節や骨、肝臓、膵臓にも転移が認められた患者群(11人)でも奏効率は36.4%とほぼ変わらなかった。しかし、NC以上の割合は肺転移巣のみの患者群では80.6%と高かったが、肺以外にも転移巣を有する患者群では54.5%だった。
 さらに、腫瘍サイズの変化からみたwater-fall plotは81.0%と、腫瘍の増殖抑制効果が認められた。
 主な有害事象は、グレード3/4の好中球減少が45.5%と最も高く、リンパ球減少が11.4%、白血球減少が6.8%、またグレード3/4の発熱は13.6%、食欲不振が9.1%で、演者らは「IL-2やIFN-αによる単独療法と比べ、新たな副作用は発現していない」とした。
 これらの結果から、「IL-2とIFNα併用療法は有効で、安全に投与が可能である」(演者ら)と結論づけている。また、奏効率や副作用に関与する遺伝子背景を明らかにするための遺伝子解析が現在進められているという。
(八倉巻 尚子=医学ライター)

肺転移腎がんに対し低用量IL-2とIFN-α併用療法は有効と多施設共同試験で確認(2009.4.27)による
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