インターロイキン2 |
2007-10-13 Sat 14:36
インターロイキン2について
IL-2はT細胞培養の分化増殖を促す15-kDの蛋白である。IL-2は主としてT細胞(とりわけCD4陽性の成熟T細胞)から産生され,その主たる機能は細胞性免疫におけるエフェクター細胞(T細胞,NK細胞)の増殖を促したり,それらの細胞の細胞障害活性を上昇させることである。これらの特性を踏まえて,IL-2は転移性腎細胞癌患者の治療に用いられてきたが,単独投与による腫瘍縮小効果は総じて約15%でIFN-αとほぼ同等である。ただ,IL-2においては3~5%の患者において持続する腫瘍の完全消失が認められる点は注目される。IL-2の至適投与量については,一般には高用量IL-2療法の方が副作用は強いが,奏効率も高い傾向がある。また最近も,骨あるいは肝転移の症例や原発巣を摘除していない症例など,一般にサイトカインが効きにくいとされる症例における高用量IL-2療法の優位性が報告されている。しかし,高用量と低用量に差がないとする報告もあり,いまだ結論は得られていない。ただ高用量群では表5に挙げた有害事象が高度となり,ICUでの管理を必要とする場合も少なくない。本邦での保険適応用量は1日210万単位までで,欧米での標準投与量の約15分の1と非常に低用量であるが,この投与量でも静脈内投与を行うと高度の有害事象が出現することも少なくない。一般的な投 与法は70万単位を生理食塩水100mLに溶解し,30分程度をかけて1日に1~2回(1日量70~140万単位)点滴静注する。この場合,発熱は必発である。皮下注射は静脈内投与と比較して同用量でも有害事象は軽度であり,外来での投与も可能である。しかし,現在日本では皮下投与は保険適応となっていない。 主な有害事象とその対策 症状別 (静脈内投与は入院で投与) 1 悪寒・発熱 解熱剤の投与。 発熱などのインフルエンザ様症状は個人差があるのはIFNと同じであるが,IFNのように慣れはなく,投与期間を通じて発熱が持続することがほとんどである。程度に応じてNSAIDを投与する。 2 血管透過性の瓦進に伴う副作用 低血圧 程度に応じて.アルブミンの投与,ドパミンの投与。 体重増加 心疾患などがない場合には+5%までは無処置でも良いが,それ以上の場合にはフロセミドなど利尿薬の投与。 呼吸困難 酸素吸入を行うが,安静時にも呼吸困難を訴える場合には投与中止を考慮する。 新・泌尿器悪性腫瘍ポケットマニュアル 赤座 英之著 メディカルレビュー社2006年2月10日発行 による。 |
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